
従業員から年末調整の書類をデータで提出したいと言われました。必ず受けなければなりませんか?
出演: … M社 経理部部長
… 顧問税理士
― M社 ―
M社経理部古門部長と顧問税理士が、打ち合わせをしています。
先日、従業員から今年の年末調整の書類をデータで提出したい、と言われました。
これまで弊社は書面での受け取りのみだったのですが、データで受け取ることができるように対応をしないといけないのでしょうか。
そうでしたか。
必ずしも対応しなければならない、ということはありません。
データでの受け取りは、義務ではありませんからね。
そうでしたか。
義務でないのなら、少しほっとしました。
はい。
もちろん、御社が対応する、ということであれば、どういった方法でデータを受領するのか、など検討をする必要があります。
適当に受け取るわけにはいかないんですよね?
そうですね。
データで受け取るためには、“一定の要件”を満たしておく必要があります。
また、どこまでをデータで受け取るのか、どういった方法で受け取るのか、など電子化する範囲や方法を決めておいた方が良いですね。
その上で、年末調整対象者へ事前に説明されると良いでしょう。
あ、何だか面倒な気が…。
そうですね。
検討をするのに時間はかかりますが、電子化が進めば、年末調整時の書類確認は楽になります。
データインポートができれば、自動判定、自動計算ですからね。記載誤りや計算誤りなどの確認や検算が不要になります。
なるほど。
でも、電子化する方針を掲げたとしても、対象者すべてが電子化しないといけないのでしょうか?
そういうわけにもいかない方もいるでしょうから、混在することもやむを得ないでしょうね。
例えば、保険料控除証明書の電子化などは、年末調整対象者が保険会社等に手続きを取らないといけませんし、そもそも保険会社が電子化に対応していないケースもあると思います。
住宅ローン控除も、平成30年以前の分は控除証明書等が電子データで提供されていませんので、電子化に対応できません。
そうなると、それはそれで管理が面倒か…。
あ、そういえば、昨年から始めた給与明細書の電子交付について、事前に従業員等に承諾を受けたのですが、この年末調整の手続の電子化も対象者から承諾を受けないといけないのですか?
年末調整の手続の電子化については、事前承諾等を受ける必要はありませんね。
保存期間も変わりませんか?
年末調整関係書類の保存期間ですね。
これは、書面でも電子データでも変わりません。
原則、提出期限の属する年の翌年1月10日から7年間の保存となります。
うーん。
ちょっと考えてみようかな。
今、弊社が利用している給与計算ソフト会社に聞いてみますよ。
簡単に導入できそうなら今年からやってもいいですし、今年には間に合わなくとも、来年以降に向けて準備すると考えればいいだけですからね。
そうですね。
スモールスタートでも良いと思います。
一度検討なさってみてください。
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